私の心の共鳴音
2006年11月へ2006年12月↓2007年01月へ
2006/12/28 (木)  我に追いつく敵機なし (鈴原透慈)
OPA627完成頒布品
OPA627完成頒布品(銅箔は自分が貼った)
OPA627自分でハンダ付け
OPA627自分でハンダ付け(この後、銅箔を貼っている)
 CDプレーヤーESOTERIC X-25のDACの電流出力を電圧にI/V変換するオペアンプをバーブラウンOPA2604から、Yahooオークションで落札したOPA627×2基板完成品に交換した。音質、音場ともに向上したのだが、自分でハンダ付けしたOPA627と比較すると、やはり低域の力感がもう一息欲しい。前者はWBTの銀入りハンダ、後者は日本アルミットのKR-19RMAを使っているのだが、低域の力感はハンダの違いではなく、上の写真に示したとおり、その使用量の差で生じたと思われる。
 写真左の完成頒布品はハンダがピンを薄く覆う程度の量だが、写真右の自分でハンダ付けした物はたっぷりとピン全体に被せている。音質的な面ではハンダという余計な介在物がより少ない左の方が良さそうに思えるが、ピンの振動対策(ダンプ)という面では右の自作品が上回っている。
 そこで、前回片chを失敗したOPA627のハンダ付けに再チャレンジしてみた。ハンダごては320度の温度制御型を使ってみたが、ピンに十分な熱を与えていないようで期待に反して音はイマイチ。普通の20Wのハンダごてを使って手早くハンダ付けした方が音が良かった。
 この手早く、という点がハンダ付けでは肝心で、鉛フリーの銀入りハンダは一般的に融点が高く、ヌレ広がりが鉛入りに比べると劣ることが多い。WBTの銀入りハンダは鉛フリーの中では一番マシな方だが、KR-19はヌレ性が良くハンダ付け不良が発生しにくいので、素人が確実に手早くハンダ付けするためには欠かせないアイテムである。
 閑話休題、自分でハンダ付けしたOPA627、自画自賛になるので気が引けるが、やはり頒布品よりも自作品の方が良い。当初の狙いである低域の力感はもちろんだが、生音の自然さでも差を付けている。ハンダの量を道路の車線数に例えるなら、舗装してあっても1車線しかない道路と、未舗装のジャリ道だが3車線ある道路のようなもので、後者の方が車は走りやすく渋滞も発生しないということだろう。
 X-25の音質改善計画は、安易に単体DACを導入するのではなく内蔵オペアンプの交換で成功した。ちなみに掛かったコストはオペアンプ4個と変換基板2個で、6,400円。
 OPA627はハイエンド機に使われる超高級オペアンプだが、ハンダ付けの手間さえ厭わなければ、1万円未満でその最上級の音が手に入る。本日のタイトルはコレで決まり!
感謝!Jun:46名 累計12,114名 Top:95名 累計10,746名 AU:2,498名 累計348,864名 AI:1名 累計1,418名

2006/12/16 (土)  OPA627をI/V変換に採用 (鈴原透慈)
アナログデバイゼス AD8610 バーブラウン OPA627 OPA627をI/V変換に採用
アナログデバイゼス AD8610 . バーブラウン OPA627 . OPA627をI/V変換に採用
 X-25のI/V変換部に使われているOPA2604の交換用オペアンプだが、オペアンプの交換は単体ヘッドフォンアンプのユーザーの間で盛んなようで、ネット上に多くの事例がある。つまり、関心が高く需要があるため、それ用のパーツがオークションに出品されており、今回はそれを利用した。
 さて、OPA2604のような挿入型DIP(Dual Inline Package)のオペアンプは現在では少数派で、主流は表面実装型SOP(Small Outline Package)である。シングル(1アンプ)のSOPはそのままではもちろんデュアル(2アンプ)のDIPには使えないが、シングルSOP2個をデュアルDIPに変換する基板を使うことで解決できる。変換基板はアメリカのBrownDogがよく使われるようで、まずはOPA627AUと変換基板のキットを落札して自分でハンダ付けしてみた。ハンダは毎度おなじみ日本アルミットのKR-19RMA。
 ところが抵抗やコンデンサとは勝手が違って、SOPはスモールと言うだけあってサイズが小さく、ハンダ付けが難しい。Rchの方が静電気破壊なのか熱ダメージなのか不明だが音が歪むのでOPA2604に戻した。生き残ったLchのOPA627もダメージを受けている可能性があるが、狙い通りOPA2604の欠点が解消されており、交換の成果はあった。
 ハンダ付けが失敗したので、次は同じOPA627と、それを超えるべくアナログデバイゼスが総力を挙げて開発したと言われるシングルのAD8610の基板完成品を落札した(前回特性比較を行ったAD8620は、AD8610のデュアル版)。ハンダはWBTの銀入りで、個人的にはややハンダが少な目のような気もするが、さすがにきれいに仕上がっている。
 AD8610はデータシートの後半でOPA627との比較を載せて優位性を主張しているが、その音はどうか。確かにOPA627とは違っており、全体的にさっぱりというか醒めた感じで、あまり熱くなることなくあっさりと音を聞かせるタイプのようだ。ボーカル物では、音が深く沈みこまなければならないところで沈まないので、不満足感が残る。映像で言うなら、暗部を映し出そうと輝度を上げて黒浮きが起きているような感じだ。なので、これはアウト。
 OPA627。超高級品で音質に定評がある。これはいい。マークレビンソンやアコースティックアーツ、シャンリング等が採用するだけあって、表現力が格段に高まっている。音色では同じメーカーのOPA2604と共通点もあって違和感が少なく、改善感だけが得られる。ただ自分が作った分よりも若干低域が弱いようなので、再チャレンジしてみたい。
感謝!Jun:30名 累計12,068名 Top:53名 累計10,651名 AU:1,362名 累計346,366名 AI:8名 累計1,417名

2006/12/09 (土)  X-25の音質改善計画 (鈴原透慈)
 先日、後輩宅でiMAC+CEC DA53の音を聞いたが、上品さという部分で見る(聞く?)べきものがあった。現用X-25はある程度の繊細さはあるが、元気の良さが身上で、少しだが荒さが感じられる。ここで単体DACを導入するのは妥当な案だが、現実には選択肢が少ない。優秀で安価という線なら業務用を狙うのも良いが、割と評判の良さげなBenchmark DAC1の説明をみると、X-25が搭載しているジッター低減回路DSRLLと似たようなことをしているようだ。
 X-25の信号系を無線と実験2003年4月号からおさらいしておくと、ピックアップで読み取られた信号はデコーダーのソニーCXD2545で誤り訂正等が行われ、サンプリング変換ICアナログデバイゼスAD1893を用いたジッター低減回路DSRLLで48kHzにリサンプリングされ、8倍オーバーサンプリングデジタルフィルターNPC SM5843に送られる。次にTEAC独自のZDII 回路で入力信号と反転信号にハイパスディザがデジタル加算され、DA変換後に両信号をアナログ減算してディザ成分を相殺する。ZDII はDACの変換精度改善と、偶数次歪とノイズの低減効果があるそうだ。
 DACはアナログデバイゼスAD1862Nの超低歪率選別品(Jランク)。DACの電流出力を電圧に変換するI/V変換にバーブラウンOPA2604。ディザ減算回路には記事ではNJM2114と記してあるが、自分の実機には三菱M5238Lが使われていた。出力バッファーを兼ねた2次LPFとバランス出力のコールド用反転アンプにはNJM2114L。
 こうして見るとDACまでのデジタル部分は、単体DACに引けを取るものではない。となると、音質改善のポイントはDA変換以降のアナログ部分にあるのではないか。
 まずはI/V変換に使われているOPA2604についてネットで検索してみると、興味深い文献があった。バーブラウンはテキサスインスツルメンツに買収されたのだが、その中に掲載されている「Super HiFi DAC Boardの設計」で、これはバーブラウンの20ビットDAC PCM1702の評価ボードの技術解説だ。実はこの中でOPA2604はI/V変換ではなくLPFに使われている。I/V変換に使われているのはOPA627だ。I/V変換に要求される5項目について、アナログデバイゼスのAD8620も加えて比較してみた。
比 較 OPA2604 OPA627 AD8620
開ループゲイン
周波数*1
7MHz 15MHz 27MHz
セトリングタイム
*2
1.5µs 550ns 600ns
スルーレート*3 15V/µs 40V/µs 40V/µs
雑音密度*4
(100Hz、1kHz)
15nV Hz
11nV Hz
10nV Hz
5.6nV Hz
6nV Hz
(1kHz)
DCオフセット電圧
*5
5mV 250µV 250µV
 *1 最低5MHz 出来れば10MHz、*2 1.3µs以下、
 *3(最小値) 14.5V/µs以上、*4 10nV/√Hz程度、
 *5(最大値) 悪くても数mV以下
 OPA2604は48kHz8倍オーバーサンプリングの電流を電圧に変換するには最低限の性能しかなく、これがネックになっていることは容易に想像できる。OPA2604はデュアル(2アンプ)なので、シングル(1アンプ)のOPA627×2個、またはデュアルのAD8620で改善しようと思う。
感謝!Jun:122名 累計12,038名 Top:244名 累計10,598名 AU:6,321名 累計344,999名 AI:14名 累計1,409名