私の心の共鳴音
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2006/07/29 (土)  機器脚のダンプ (鈴原透慈)
ESOTERIC X-25の脚 アキュフェーズ C-2400の脚 Lo-D HMA-9500MK2の脚
ESOTERIC X-25の脚 . アキュフェーズ C-2400の脚 . Lo-D HMA-9500MK2の脚
フォックでダンプしたX-25の脚 フォックでダンプしたC-2400の脚 フォックでダンプした9500MK2の脚
フォックでダンプしたX-25の脚 . フォックでダンプしたC-2400の脚 . フォックでダンプした9500MK2の脚
 CDプレーヤーのESOTERIC X-25の天板、側板、支持材等は1mm厚フォックでダンプしているが、底板(8mm厚、8kgの鉄板)はブチルゴム+鉛シートのままだった。そこで、底板も1mm厚フォックに貼り替えたのだが、案に相違して向上度が大きくない。S/N感は確かにアップしているが、硬質感が出てきている。フォックは制振性能が優れているので、使うとそれまでは見えていなかった問題点が顕わになることがある。今回は筐体と底板との接触歪みではないかと予想して、テフロンテープを貼って両者の密着度を上げてみたが、傾向は変わらない。そうすると、原因は他にある。
 筐体以外で底板に接しているのは……脚だ! 機器の脚への振動対策の有効性は、レクストでも紹介されているが、これまでなぜか試していなかった。
 まずはテストで15mm角にカットした1mm厚フォックを前2本の脚に貼ってみたところ、改善が認められたので、X-25の3本脚すべてにフォックを巻き付けた。
 そうすると、今度はプリのC-2400が気になってくる。C-2400の脚は鋳鉄製だが、ここも前2本の脚にフォック小片を貼り付けたところ効果があったので、同様に対策。
 最後はメインのHMA-9500MK2だ。鈴蘭堂のアルミノブVR-1Gを脚にしているが、もちろん、ここも効果あり。
 とにかく、対策するごとに音の汚れが取り除かれていき、自然さが増していく。今更ながらに振動の影響の大きさと、それを忠実に伝えていたD-58の変換器としての優秀さに驚いた。音に不満がある場合、振動対策の経験を積むことがローコストでハイクォリティなオーディオへの近道だと思う。
フォックでダンプしたX-25底板 テフロンテープを貼った接触部1 テフロンテープを貼った接触部2
フォックでダンプしたX-25底板 . テフロンテープを貼った接触部1 . テフロンテープを貼った接触部2
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2006/07/17 (月)  Earthworks シグマ6.2 (鈴原透慈)
Earthworks Σ6.2 Earthworks Σ6.2側面
 先月、トモカ電気で聴いて感心したEarthworksのタイムコヒーレントモニターΣ6.2だが、何と京都に展示機があると言う。しかも、マルチ5本だそうだ。これは行って聴かねばなるまいと、祇園祭りをスルーして伏見区は小栗栖のフカイデンキ様を訪ねさせていただいた。外観はHPでわかるとおり、ごく普通の電気屋さんだが、4階にシアタールームがあり、そこにΣ6.2が置いてある。フロント3本が黒、リア2本が桜無垢材。上記HPの情報は更新されていないので、機材はスピーカーを始めとして若干の変更がある。トランスポートはAYRE D-1、DACはメーカーも型番も忘れたが20ビットでもビット落ちしないもの、プリはベルテックの8chプリ、パワーはPASSのX-5。当日はマルチの再生環境が整わず、2chCDステレオのみでのヒアリングとなった。
 ちなみに、フカイデンキの深井店長はハイエンド機器を始め、電源工事も手がけられているオーディオのプロ。こういう方がオーディオ専門店でない家電店で活躍されている事には正直驚いたが、もちろん十分なオーディオ経験を積まれてらっしゃるのは、機器ラインナップからも明らかだ。スピーカーも当然いろいろ試されたそうで、余談だが、海外製SPの多くは約3.5mの距離で最高の特性になるよう、設計されているとのこと(やはり、日本より部屋が広い!?)。
 試聴記の前にあらためてΣ6.2の紹介。Earthworks社はノイズリダクションdbxを開発したデビッド・ブラックマー氏によって、1979年に設立された。1995年に最も波形を正確に再現できる(=時間軸特性を重視)マイクを比較的安価で開発することに成功。そして、同社のマイクが捉えた情報を余さず再生できるスピーカーの開発も続けられ、2002年に発売されたのが、タイムコヒーレントモニターΣ6.2だ。
 仕様はこちらを見ていただきたいが、サイズは幅240×奥行395×高さ425mm。質量は14.5kg。トゥイーターは独立マウントで、その後ろ上部にスリットがある。黒はいかにもモニターといった面持ちでペア税別65万(60万円から値上げされた)。一般家庭には桜材の方が映えるが、25mm厚桜無垢材使用タイプはペアで90万円強になる。
 ネットワーク部はプリント基板による劣化を避けるため部品同士を直接結合する方式を採用。Solen社大型空芯コイルと同社製ポリプロピレンコンデンサー(おそらくFAST)使用。ユニットはVifa社製。ウーファーの口径は6.5インチでアルミダイキャストフレーム。入力端子はノイトリック社スピコンと、WBTの金メッキデバイディングポストを備える。半田はWBTの銀半田、内部配線に無酸素銅線を使用(以上、パンフより)。最適聴取距離は1〜3mのニアフィールドモニターで、マッチドペアで出荷(米HPより)。
 インパルス応答、ステップ応答ともに極めて優秀、変換器としてほぼ理想に近い特性。F特もフラット(低域は40Hzで−3dB、30Hzで−6〜7dB)。性能的には比類なきスピーカーだが、知名度は無きに等しい。販売元がプロオーディオ機器業者のトモカ電気のためか、自分の知る限り、サウンド&レコーディング2002年3月号で紹介されただけで、オーディオ雑誌には一切登場していないと思う。
 さて、Σ6.2だが、音場空間や音像はインパルス応答から分かるとおり文句無し、見た目のサイズで気になっていた低音も本物。まさに「変換器」で、「スゴイ音」や「いい音」などのオーディオ的な味付けとは無縁。誇張されたオーディオ音に慣れきったマニアには刺激の無いつまらない音に聴こえると思う。ブランドや価格に惑わされない通人向き。生音と較べて情報量・スピード感の欠損など、『スピーカー』の音に不満を抱き悩まれているのであれば、一聴をオススメする。自分も自作SPに愛着が無ければ導入していただろう。
 ただ、これに組合わせるスタンドが悩み所ではある。ある方がΣ6.2を5本購入されたそうだが、その特注木製スタンドは何と1本80kg。値段はたぶんスピーカーより高いだろう。フカイデンキのシアターでも木製のしっかりしたスタンドが使われていたが、これはとりあえずの設置用で、理想はやはり80kgの特注木製らしい。ウーファーの振動板質量がもし15g程度なら14.5+80=94.5kgは6,300倍でいい線だと思う。とにかくもっと知られていいスピーカーだ。
PS.故障してもEarthworksはサポートが早いそうだ。
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2006/07/16 (日)  電源プラグのアルミシールド (鈴原透慈)
簡易コンセントスタビライザー アルミシールドした松下WH4019 電源プラグのアルミシールド
簡易コンセントスタビライザー . アルミシールドした松下WH4019 . 電源プラグのアルミシールド
 ひょんなこととは、インレットをオヤイデF1にしたため、プリアンプのサービスコンセントに挿していたノイズフィルターのクワイエットラインが挿せなくなり、やむなく外したところ、音の切れがほんのわずか後退してしまったことに始まる。
 実は、先週、大阪で開催された河口無線のイベントで福田先生がアコースティックリバイブの商品のデモを行なわれていて、コンセントスタビライザーCS1を一般の壁コンセントに挿し込んで、僅かではあるが音の変化があることを見せていただいた。コンセントは空き状態では電極が振動するから、何か挿しておいた方がベターなのは理の当然ではある。
 そこで、まずは埃除けのプラスチックカバーを挿してみたが、強度不足なのか、効果はイマイチ。次に松下のコーナーキャップWH4019を試してみた。こちらの方がプラスチックカバーよりは良いが、しかし、クワイエットラインを挿していた時と同じにはならない。
 クワイエットラインはノイズフィルターで、WH4019は単なるキャップ。構造的にはクワイエットラインは内部に基板があってそれにコンデンサー等が実装されている。キャップにフィルター機能は持たせられないが、基板がシールドの役目をしているのなら、せめてシールドは出来ないか?
 そこで思い出したのが、オーディオアクセサリー誌108号(2003春)P200に掲載されていた、吉田伊織先生のACプラグのノイズ対策だ。これはプラグ部分をシールドするためにアルミ箔を巻き付けるというもの。雑誌の写真では台所用アルミホイルが使われていて見栄えが良くなく、「こんなモン効果あるんかいな」と当時は読み飛ばしていたが、サンハヤトの粘着アルミシートT-30AをWH4019の周囲に貼ってみたところ、見事、音の切れが復活。それだけでなく、シールド効果なのか、音場の見通しも少し向上した感じがする。
 こんな僅かなシールドでも変化があるのなら、F1のアルミシールドの効果は結構大きいのではないか。考えてみれば、現代は高速ネットワークや携帯電話で電波が所構わず飛び回っている。電源ケーブルは一種のアンテナだから、高周波用のシールドが効果を発揮しても不思議ではない。
 そういうわけで、電源プラグの8315CATの円周部分とケーブル固定部付近にアルミシールドを施した。ケーブル固定部には更に0.5mm厚フォックを貼ってダンプ。プレーヤー、アンプ、テーブルタップの8315CATにすべて対策して、アルミシールドの効果を確認。手軽な対策ではあるが、もちろん、ショートには十分な注意が必要だ。
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2006/07/15 (土)  オヤイデF1 (鈴原透慈)
オヤイデF1・フォック貼り(CDプレーヤー) オヤイデF1・フォック貼り(プリアンプ)
 スミマセン、先週の日記を読み返してみたら、アコースティックリバイブの仮想接地装置RGC-24の導入で何がどう良くなったのかまったく言及していなかったので、追加報告。
 アースの効果でノイズレベルが下がったためと思うが、音場の見通しが向上、音像が鮮明、更に高域のサチリが無くなり(ボーカルのサ行のキツさが減少)、低域のダンピングが向上して音程が明確化、全域でDレンジが向上して音の伸び切らない詰まるような感じが解消、と良いこと尽くめで今のところデメリットは感じていない。なお、RGC-24本体はなるべくしっかりした所に置く方が良いようだ。
 さて、RGC-24で筐体の環境が改善されたので、それに見合う電源を供給するべく、5月に発売されたオヤイデのフラッグシップIECインレットF1を導入してみた。
 IECインレットは昔はフルテックのFL-15Rを使用していて、その後オヤイデのC-037を使用。今回、そのC-037を上級機のF1に交換したわけだが、プラグはレビトンの20A用L型8315CAT、電源ケーブルは3.5スケア2芯VCT(FLチューブ被せ)でインレット以外は変更していない。
 これは、電源ケーブルを構成する部品のうち、接点との接触状態にもっとも問題を抱えているのがIECインレットだと思っているからだ。逆にプラグの8315CATやケーブルの3.5スケアVCTはそれらに要求される性能をかなりのレベルでクリアーしていると思っているので、現時点では交換の必要性を感じていない。特にL型プラグの構造的メリットは大だ。
 さて、F1の説明はメーカーページを参照していただきたいが、実に贅を尽くした商品である。電極にベリリウム銅、メッキにプラチナ+パラジウム、外来ノイズに強いアルミニウムのアウターカバーと機械的・電気絶縁特性に優れたデルリンのインナーカバー。音はC-037を確かに上回るが、価格に比例した3倍強の違いがあるかと言えば、そこまでの開きはないと思う。アルミとデルリンの80%以上を廃棄する贅沢な造り方が、価格を押し上げているのだ。それはさておき、F1の音の良さには、電極の素材とメッキも寄与しているはずだが、それ以上にアルミカバーによるシールドが効いているのではないか? というのも、ひょんなことからプラグ部分へのアルミシールドを実験して好結果を得たからだ。
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2006/07/08 (土)  ダブルRGC-24 (鈴原透慈)
RGC-24(CDプレーヤー) RGC-24(プリアンプ)
 アコースティックリバイブの仮想接地装置RGC-24のあまりにも素晴らしい効果に感動して、昨日は思わず漫画ネタで締めてしまったが(元ネタはJOJOとDMC)、真面目な話、コレは買いだ。音が良い云々というより、オーディオ機器の動作を理想に近づける、つまり機器の能力を更に引き出すものだからだ。「正しいことの白」の中にいるという感覚は決して大袈裟なものではなく、誇張されたオーディオ音に慣れきっているのでなければ、おそらく誰でもわかると思う。
 オーディオアクセサリー誌でいつもベタ誉め、かつアジテーション的な記事ばかりなので信頼度が低い『マンセー』林氏のレビュー(121号、P177)は、今回は本当だ。そして、録音評で有名な斎藤先生がタイアップ記事(同P216、217)ではあるが、「究極は本機のダブル運用」「その効果は倍増に留まらず自乗倍になる」としてシステムに組み入れられたとなると、これも試してみなければなるまい。
 ということで、貸出期間中にまずは1個購入してプリアンプに接続。フォノイコライザーユニットAD-290のアース端子にYラグがうまく嵌まらなかったが、まずはその状態で試聴。オプションボードだからか、接触状態が良くないためかあまり変わらない。本体の入力端子はどうだろうか。全入力端子をショーティングしてノイズ対策をしているので、それを外すのはちょっと抵抗があったが、LINE3のショートピンを外してRCAアダプタで接続。先ほどより少しはよくなったが、しかし価格ほどの効果があるかと言えば微妙。
 となると、出力端子しかない。REC OUTに接続したら、これは良かった。自乗倍かどうかはさて置き、さらに効果的なのは間違いなく、これならダブル使用の価値がある。
 なお、自分のシステムではプレーヤー、アンプともに出力端子が良かったが、他のシステムにもそれがあてはまるかどうかは、わからないのでご注意を。
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2006/07/07 (金)  仮想接地装置 アコースティックリバイブ RGC-24 (鈴原透慈)
RGC-24本体 RGC-24付属ケーブル RCAアダプタ
RGC-24本体 . RGC-24付属ケーブル . RCAアダプタ
RCAアダプタその2 Cardas RCA保護キャップ RCAアダプタその3
RCAアダプタその2 . (参考)Cardas RCA保護キャップ . RCAアダプタその3
 オーディオ機器にはアースを取った方が良いのかどうか。これは結構、古くから議論されている問題で、アースを取ってシャーシ電位を0Vにすればノイズを地中に逃がしてシールドは完璧、音質も飛躍的に向上すること間違い無し……と考えがちだが、実はそう単純な話ではないらしい。
 アースにもランクがあって接地抵抗値が低いほどベターなのだが、接地抵抗値を10Ω以下にする本格的なアース工事は業者に依頼しなければならず結構大掛かりになるし、また大地そのものにも迷走電流が流れているケースがあって(近所に雷が落ちたら確実に増えるはずだ)、アースを取ったがためにノイズが出ることもあるそうだから、下手なアースを取るくらいなら、取らない方がまだマシらしい。
 そんなわけで自分もアースは取っていなかったのだが、最近、アコースティックリバイブが仮想接地装置なるものを発売した。効果は如何なるものかと興味を持っていたら、メーカーがほぼ全商品の無料貸し出しキャンペーンを行なっていたので、借りてみた。貸し出し期間は、約2週間。
 本体は直径88mm、厚さ16mmの円板型で質量345g。上部が黒塗装のジュラルミン、下部ベースが金メッキの真鍮で内部に天然鉱石の粒子が詰められている(梱包袋に少しこぼれ出ていた)。付属ケーブルは楕円シングルコアで、長さ約50cm。バナナプラグ側を本体に挿し込み、Yラグ側を機器のアース端子に接続する。アース端子が無い場合はRCAアダプタを使用。そのためか、このYラグは幅4mmと小型だが、これに合うアース端子は少ないのではないか。
 さて、アンバランス接続ではアースは前段の機器で取るのが基本らしいので、CDプレーヤーのデジタルアウトにRCAアダプタで接続。念のためシャーシ電位を測ってみたが、ほとんど変化無し。しかし、音には変化があった。ノイズレベルが下がった感じで透明度が向上、だが音が寂しくなった感じもする。このデジタルアウトにはフォックでダンプしたCardasのRCA保護キャップをはめていたので、RCAアダプタもフォックでダンプ、するとォ! 音はまさに激変、自分が「正しいことの白」の中にいることを実感できる。TAIKANせよ!
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2006/07/01 (土)  サンプリングレートコンバータ (鈴原透慈)
 先月発売のAUDIO BASIC誌に176.4kHz/24ビット録音のガムランの生録CDが付いている。自分も5年前に日本のガムラングループの練習を96kHz/16ビットで録音した経験があって、それを上回るかと期待して聴いたのだが、いささか残念な録音であると言わざるを得ない。ガムラン演奏にはもっと細かく繊細な音の成分が含まれているのだが、それがスッパリと抜け落ちている感じだ。何故だろうか。
 録音に使われたダミーヘッドのマイクはDPA 4061。舞台やテレビ放送で出演者に仕込むミニチュアマイクロフォン、いわゆるピンマイクだ。決して悪いマイクではないらしいが、しかし、確かにそのレベルの音で、自分が5年前のガムラン録音に使ったEarthworks QTC1(現QTC40)より優れているかといえば、それはあり得ないだろう。価格面でも4061は5万円、QTC1は20万円である。
 さらにタスカムHD-P2内蔵のマイクプリを使用というのもマイナス点だ。自分が使ったのはGRACE DESIGNのLUNATEC V2という最高級ポータブルマイクプリで、ここでも差がついている。現在はADC内蔵のV3になっているから、そのデジタル信号をHP-D2で記録していればマイクがDPA4061でもずいぶんと違っていたのではないだろうか。
 それから176.4kHz/24ビットから44.1kHz/16ビットへのダウンコンバートも気になる。24ビットから16ビットに単純に変換すると音量が小さい部分で量子化ノイズが発生するため、普通はディザを掛けて解像度を確保しようとする。しかし、これは本来発生するノイズをノイズシェイピングを用いて聴感上影響が少ないとされている帯域(15〜20kHz近辺)にシフトさせるので、ガムランではデメリットが大きいのではないか。また、ディザリングには様々な手法が存在し、このCDの録音を担当されたエンジニアの小川氏のHP(4/18〜19)にも『考え得る3通りの方法』で『最もオリジナルに近いサウンドとなった方法を採用』 とあるように、ダウンコンバートのやり方で音が変わるのは厳然たる事実だ。
 自分もこれを機会にサンプリングレートコンバータ4種類を比較してみた。マスタリングソフトSamplitude内蔵SRC、フリーソフトのSSRC_HP、r8brain、シェアウェアのr8brain PRO。これらのSRCで前述の96kHz/16ビット録音のガムランをディザ無し、最高音質の設定で44.1kHzにする。
 一番良かったのはr8brain PROのMinPhaseモードだ。これは動作的にはまずSRCが理想的なDACとして働いて、その後、リサンプリングを行なうことで一般的なリニアフェイズ変換によるプリ・リンギングを排除している。確かに他のSRCではどこかしら感じられる強調感が皆無で、音が極めて自然だ。ただし、装置のクォリティが十分に高くないと迫力の無いつまらない音だと勘違いされるかもしれない。
 余談だが、自分はCD-Rを焼く際はデータをRAMに取り込んで等倍速で焼くのだが、面白いことに、変換したWAVデータをHDDから直接RAMに取り込んでCD-Rに焼いた物と、それをCD-Rドライブの4倍速読取りでRAMに取り込んでから再焼き直しした物とを較べると後者の方が音が良いのである。HDD上からRAMへの取り込みはかなり高速なのだが、それが悪影響を及ぼしているのか、HDDの読取りという行為そのものが電源系に影響を与えてしまうのか。
 それはさておき、小川氏がマスターCDに三菱のGREEN TUNEを採用されたのも個人的には疑問だ。板そのものへの振動対策は良いのだが、三菱のスーパーアゾは光ディスクライターの第一人者、森康裕氏からドライブとの相性やジッターが低くならない問題点が指摘されている。もし小川氏がPLEXTORのドライブを使っているのだとしたら、マスターCDはザッツのSPMPTを使った方がベターだと思う。
 さて、付録CD最後の6トラック目には44.1kHz/16ビット録音の「サウンド・トリップ・イン・バリ」が収録されているが、自分にはこちらの方が高音質、ワイドレンジでダイナミックレンジも広く聴こえる。ハイサンプリング・ハイビット収録=高音質だと単純に礼賛はできないという、良い例のCDだ。
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