タイトル | : Re: 生と勘違いする音 |
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投稿日 | : 2006/09/10(Sun) 10:01 |
投稿者 | : |
一人で、同じ装置の音を聴き続けていると、聴覚の補正が働いてきて、全てが満たされた感覚になってきます。
一例として、昔近くのマニアのお宅を訪問させていただいた時、とても歪んだ音場で前後はほとんど分からず、幽霊のようにふらふらした楽器の定位に驚きました。頭がねじ曲げられるような感じと言ったらおわかりでしょうか。
ちょっと見ると明らかにスピーカーのセッティングがずれていたのですが、肝心の本人様は「広大なホールに楽器がピンポイントで定位するでしょう。まさに臨場感の極みです。」と至極満足げに語っておられました。我慢して1時間ほどいろいろ聴かせていただきましたが、そのうちに徐々に違和感が少なくなってきて、それなりにホール感も感じられるようになってきました。途中、トイレに行かせてもらって帰ってくるとまた違和感が復活しました。聴覚の補正がリセットされて、通常の感覚になったためです。
オーディオに関心のない人が聴いて良い音と思わないのは音を聞き分ける訓練ができていないから仕方がないという意見がありますが、ビンテージ製品の独特の良さが分からないというようなことは別にして、生を基準にした場合は、かえって作られた音を聴き続けている(脳内補正が強力にかけられている)人の方がニュートラルな判断が狂う場合もあると思います。
素人の耳は恐ろしいですよ。素人といっても生まれたときから生の音には常に触れていますし、作られたオーディオの音には毒されていませんので、思ったまま遠慮なくいろいろな事を言います。