板取図も出来て、さて業者にカットを発注しようというその直前に組立図をよくよく見てみれば、あれ? 幅360mmの内側の側板34と残りの側板35の配置がオリジナルのD-58ESとは逆になっている。つまり、故長岡鉄男先生の設計では幅360mmの側板が後ろ側なのだが、FOSTEX設計のD-58ESAではそれが前側に来ているのである。
FOSTEX版だと側板の繋ぎ目が奥になるので見た目は良いが、しかしユニットからエンクロージャーに伝わる不要振動を早めに遮断するためには、幅の短い側板を前側に使う長岡先生の設計の方が合理的なはずだ。ちなみに不要振動の遮断という観点からすると、外側の側板33はFOSTEX版の1枚よりも、内側と同じく2枚で構成する長岡先生の方が良いということになる。そこで、板33を360mmと208mmに分割して、内外側板の配置をオリジナルD-58ESと同じにした。これにて、D-58ESRの検討は完了とする。
……と思っていたのだが、最後の最後で前面飾り段21〜25の寸法を見直して、開口度をほんの少しだけ大きくした。前頁の検討案2ではホーンの曲面を模して少し膨らんだ形にしていたが、気柱共鳴を少しでも防ぐ狙いで、直線に近い感じにした。
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