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音生命 (おといのち) ♪Let's make Rebirther
<2007/02/24> ←前へ 次へ→
6.マイ・システム 3)ADプレーヤー 長岡式積層合板プレーヤー
ハイファイオーディオの音源としてその登場が一番早かったのはご存知のとおりレコード(LP)である。現在ではAD(アナログディスク)と呼ぶのが普通になっているが、そう表記し始めたのは故長岡鉄男氏である。LP盤は高価だったので、無料で聴けるFM放送が普及し始めると売上は凋落傾向に転じ、CDの登場で止めを刺された。アナログは懐古趣味的に捉えられることが多く、その音も「暖かく、やわらかく、心地よい」というイメージが流布している。しかし、「それはレコードプレーヤーのインシュレーターの音だ」と喝破して、『CDを上回るハードでシャープでダイナミックな音』 しかも 『艶も色気もある』 再生を実現していたのも、故長岡鉄男氏だ。
「インシュレーターの音」とは、振動遮断のためにインシュレーター(ゴムとバネ)で支えられたプレーヤー本体が常にミクロ的に揺れていて、音を拾うカートリッジの針先にレコード盤の音溝以外の振動を発生させ、その結果として元の音の情報以外の音が付加されてしまった状態を意味する。それを防ぐには、プレーヤーの個々のパーツ、フォノモーター・キャビネット・トーンアーム・カートリッジ・ヘッドシェルなどを重くて丈夫で鳴きにくくロスが少ない高忠実度設計の商品を選択して、リジッドに設置するしかない。ただ、この方法は設置する場所が振動していたらアウトなので、その点には十分な注意を要する。
ADプレーヤー 長岡式積層合板プレーヤー すべて生産中止品
ADプレーヤー ADプレーヤー背面 ビクター MC-L1000
ターンテーブルはテクニクスSP-10MK3、トーンアームは同EPA-100MK2、カートリッジはビクターMC-L1000。積層キャビネットはSTEREO誌1987年9月号に掲載された、故長岡鉄男氏の設計によるもの。18mmシナ合板の4枚重ね。インシュレーターは使っていないが、ラックの天板に450mm×300mm×8mm厚の鉛ボードを2枚敷いてある。アームボードも純鉛。キャビネットがやや反っているため周辺部では密着しきれておらず、以前は真中写真のように0.3mm厚ゴムシートを挿んでキャビネットを載せていたが、2004年4月にリジッド化による音質向上のために除去した。アクセサリーは、ターンテーブルシートがパイオニアJP-701、スタビライザーがマイクロST-10、シェルがビクターPH-L1000、シェル取り付けねじがオーディオクラフトのステンレス製ねじ。これが軽量のアルミねじだと音も軽くなるが、それはなぜか? 仮にステンレスねじがアルミねじよりも1g重かったとすると、MC-L1000の振動系実効質量は0.35mgだから、2,857倍もの質量増となって、針先がしっかりした土台を確保したのと同じになって、振動の支点がふらつきにくくなるからだ。重くて非磁性体のステンレス製ねじが、今日では入手できないのは残念。話が逸れたがアームコードとシェルリードはメーカー付属品を使用。

長岡系では定番とも言える構成で、音質への信頼性は非常に高い。このプレーヤーの良さは、ADやCDという記録方式にこだわる愚を犯さずに済む点にある。ADだから音がよい、CD(昨今ならSACDやDVD−A)だから音がよいという俗説は馬鹿げている。ADでもCDでも、そこから自分好みの良い音を引き出して楽しむのが、本当のオーディオマニアだろう。

使いこなしの工夫を1つ紹介しておくと、カートリッジのリード線の結線がポイントで、ここはもっとも振動に弱い部分だ。昔は糸で縛ったりブチルゴムで包んだり、エポキシ接着剤で固めたり、それらを組み合わせたりというテクニックがあった。しかし、これらは元に戻しにくいし、面倒なので、自分が行なっているのは、LchとRch毎にプラスとマイナスのリード線を撚り合せる方法だ。実際には線が短いので撚り合せるというよりも、絡ませる感じだが、音の変化は大きい。きつく絡ませるときつい音になるので、適度なポイントを探して欲しい。

他のアナログ用機器は、MC用ヘッドアンプがアキュフェーズC-17、フォノイコライザーが同AD-290。C-17は1984年9月に発売されたヘッドアンプで2001年10月に中古品を入手。当時はC-280Vを使っていたが同機のMC入力とはもちろん格段の差だった。AD-290はプリアンプC-290用のフォノイコライザーユニットで、2002年4月にM85氏によるC-290V組込試聴記が「自作派ホームシアターwforum」に寄せられるまでは全く注目されていなかった不遇の逸品(過去ログ47内、記事番号11575。ちなみに2002年9月には同氏によるC-2800組込試聴記が「船長の戯言」の航海日誌内で発表されている)。2002年12月にあーくの竹男さんのご厚意で入手した。回路的にはC-280Vのそれを継承しており、ハイスピードで鮮烈な音。以降のAD-290V・AD-2800とは回路も部品も音のベクトルもすべてが異なっており、まさにオンリーワン。高SN比で歪みの少なさも際立っており、AAVA搭載のC-2400との組合せではMC-L1000がMM入力でC-17経由の音に迫るほど優れたフォノイコだ。
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