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音生命 (おといのち) ♪Let's make Rebirther
<2001/06/13> ←前へ 次へ→
2.エネルギーの源〜電源〜 10)ヒューズ
機器内部の電源回路において、音への影響度が極めて大きいのに、その存在が忘れ去られているパーツがある。それはヒューズだ。ヒューズは電源ラインに直列に挿入されるパーツなので、その直流抵抗値が大きいとマズい。

Lo−D HMA-9500MKII には1Aのヒューズが5本入っていて、これらを直列につないで抵抗を測ってみたら1Ωを超えていた。つまり、1本あたり200mΩ(=0.2Ω)以上あるわけだ。大した値ではないと思われるかもしれないが、3.5スケア2芯キャブタイヤの往復の直流抵抗は1メートル当たり約10mΩなので、200mΩは20メートル分、1Ωだと何と100メートル分にも相当する。
古いモノが多いのだが自宅のオーディオ・ビジュアル機器のヒューズを調べてみると、口金にSOCと刻まれたものが多かった。多分、ヒューズのメーカー名だと思うが、コイツの直流抵抗が概して高めのようだ(もちろん、HMA-9500MKIIもSOC)。回路保護のため、早く切れるように直流抵抗が高くなっているのか、それともただ単に値段が安いモノを使っているだけなのか定かではないが、せっかくここまで低ロスのために工夫してきたのに、ヒューズがこれでは台無しである。


そこで、機器内蔵のヒューズをDIY店などで売っている市販のヒューズに交換する。こちらは大抵、口金にFUJI と刻まれているようだ。元のヒューズと同じ規格のものを選ぶのが無難だが、自分の場合は直流抵抗の低減を狙って、同じ耐圧で電流値を小数点以下で切り上げにしたものを選んだ。元が125V0.5Aなら125V1A、250V1Aなら250V2Aといった具合だ。もちろん、トラブルの危険性が皆無ではないので、この交換は自己責任で行うこと(自信がなければ、元と同じ規格にしておくべき)。2AのFUJI のヒューズは5本直列にした抵抗値が1Ωを切っていたので、HMA-9500MKII の1AのSOC5本と交換した。交換の際には、ヒューズとヒューズホルダーの接点を、東レのトレシー(眼鏡やレンズ拭きなどの超極細繊維布)や無水アルコールでクリーニングしておくと良い。

音は、まさに低ロスを地でいく、ダイナミックさと繊細さが両立した方向に変化する。なお、このポイントは故長岡鉄男氏の名著「オーディオA級ライセンス」(共同通信社刊)で紹介されていたものである。
ヒューズ
ヒューズの違いの実例
左はTEAC VRDS−9に使用されていたミニガラス管ヒューズで250V2A(これが3本)。見てのとおり、ハンダ付けとおぼしき球が2つある。基板には 「SLOW BLOW」 と印刷してあったが、低速遮断という意味か? VRDS−9はこのヒューズでも十分良い音で、FMfan 97年No.10の長岡鉄男のダイナミックテストでも「VRDS−25の弟分にふさわしい内容」と高く評価されている。右はホームセンターで購入したFUJI の250V3A。これと交換すると、音のスピード感や鮮度等が向上する。
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