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音生命 (おといのち) ♪Let's make Rebirther
<2008/12/07> ←前へ 次へ→
2.エネルギーの源〜電源〜 3)ブレーカー
この項からは電源に関わる部品を入り口から順に追っていく。まずは、一般家庭で電源の入り口であるブレーカーだ。今やテーブルタップや壁コンセント、インレットプラグで音が変わるのは常識となっている。であれば、その上流であるブレーカーで変化が無いとは考えにくい。「ブレーカーで音が変わるのか?」という疑問もあるだろうが、結論から言えば、変化はある。この辺の検証は、オーディオ評論家の福田雅光先生が精力的に実験結果を発表されており、自分はその追試をしている形だ。このページでは、その経過レポートと、分電盤を交換しない範囲での低電磁界配線を紹介する。
なお、ブレーカーの取付けや交換は電気工事士の資格が必要なので、近所の電気工事店に依頼するべし!!
メインブレーカー下面のダンプ(フォック) ブレーカー背面のダンプ ブレーカーの取り付けネジ 子ブレーカーへの配線をツイスト
メインブレ−カー ブレーカー背面のダンプ ブレーカーの取り付けネジ 低電磁界配線
(1)メインブレーカー(漏電遮断器)
メインブレーカー下面のダンプ(VEM)
家庭用電源の入り口は言うまでもなく、ブレーカーだ。電流が流れる以上、フレミングの法則で配線、ひいてはブレーカー本体も微少振動しているはずだが、この部分は丈夫なVVF単線が使用されているため、特に問題視はされてこなかったようだ。ブレーカーに振動対策をすると音が変わるというレポートを初めて見たのはRCC(レゾナンスチップカンンパニー、現レクスト)の掲示板で、2001年の話だったと思う。RCC商品のレゾナンスチップをどこに貼れば効くかという、実験かつ宣伝の場であったが、メインブレーカーの下面がそのポイントのひとつとして、話題騒然になった。
自分もメインブレーカー下面にレゾナンスチップを貼ってみたが、確かに1〜2dB音量が上がったように感じられた。この結果からすると、やはりブレーカーでも微少振動によるエネルギーロスがあるものと思われる。上の写真は、レゾナンスチップの替わりに住友3Mの制振材、VEMを貼った時の物。制振の仕組みは、レゾナンスチップもVEMも、粘弾性材に拘束坂を貼り付けて、粘弾性材をある程度不安定な状態にしておいて、そこが振動することで、外来の振動エネルギーを吸収(=消費)するというものだ。原理的には錘がぶら下がったバネと同じだから、拘束板の位置は下面がもっとも有効だと推測される。そして、その効果は接触面積が大きいほど高い(=> 制振の大原則!!)。
メインブレーカー下面のダンプ(フォック)
現在、メインブレーカーは25年以上も使った松下製から、テンパール製に交換して、下面には新しい制振材であるフォックの1mm厚を貼っている。フォックの制振原理は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、それを最終的に熱エネルギーに変換することで効率よく吸収するというもので、素材の固有音が無く、微少な振動ほど制振性能が向上するという点が特徴だ。音は、ブレーカーが変わっているので直接の比較ではないが、VEMよりナチュラルな印象だ。この対策は電気工事も必要ないので、ぜひお試しあれ!
(2)ブレーカー(配線用遮断器) 評価の変遷 その1 <2003年夏> テンパールB-1EA 20A
ブレーカーの音質比較テストが初めて発表されたのは、2003年夏発売の音元出版「電源&アクセサリー大全2004」。テスターはオーディオ評論家の福田雅光先生。 『世界初!前代未聞のブレーカースクランブルテスト』 とある。一枚の木製ボードに下記8機種を並べてステンレスのネジで固定。壁コンセントとパワーアンプの間に挿入してテスト。Fケーブルは品川電線VVF-2.0。
「電源&アクセサリー大全2004」ブレーカースクランブルテスト(2003夏時点)
No メーカー・型番 形式・容量 評価
松下電器産業 ZN-37 2P1E 15A 高域がやや粗く立つ面もあるが力感、ダンピング、S/Nはしっかりしている。
松下電工 BS1112 2P1E 20A 1よりは透明で濁りが少ない。S/Nも高い。大編成曲の分解力、高音の繊細性など感想としては80クラス。
日東電工 CB32J 2P2E 20A ほとんど興味なし。穏やかだが、ナローでソフト。すぐ交換した方がよさそう。
テンパール
B-1EA 20A
2P1E 20A 2より低域の力感などを含めてもう少し上を行く。分解力が高く、強調するクセが少なくエネルギー密度が高い。バロック音楽の繊細なニュアンスがきれいに分離している。これで十分に思う。
テンパール
B-2EA 20A
2P2E 20A 立ち上がり、ダンピングなど活性的に聴こえるが、よく調べると高域に強いクセを持っているようだ。質感としてはもうひとつだがメリハリの効いたサウンドで魅力。これは本当にいいのか疑問。Fケーブルの種類によっては効果的なケースも十分にある。
CAT CPBR-20AS
(生産完了)
2P2E 20A 5をクライオ処理。音質的に上位。低域に強力なエネルギー力を引き出し、オーソドックスで厚く透明な音質。4に近い性質がある。低音の力感は明らかに7より強力。
CAT SCBR-20AS 2P2E 20A 5をスーパークライオ処理。音質的に上位。純粋で精度が高くニュートラル。低歪、レスポンスが高速、高解像度などの魅力がある。ただ、低域のエネルギー量はあっさりする。バロック音楽は抜群だが、低音のパワーは締まり過ぎる。
CAT SCBR-30AS 2P2E 30A オーソドックスだが解像度、ダンピングでは甘く、ナチュラルだが冴えが乏しい。
松下電工BS1112K テンパールB-1EA
上記のテスト結果からすると、6のCPBR-20ASがベストのようだが生産完了なので、4のテンパール B-1EA20Aが現実的。幸い、近所のホームセンターで入手できた。価格は定価税別880円が税込みで640円だった。自宅で25年以上経過した松下電工BS1112Kと比較してみると、写真のとおり、配線を固定するネジ周りの肉厚がずいぶんと違う。松下製が薄いのはコストダウンのためだろう。テンパールの音は、福田先生の評価どおりの印象。これで十分と思っていたのだが……(2004年11月時点)。
松下電工BS1112K テンパールB-1EA
(3)ブレーカー(配線用遮断器) 評価の変遷 その2 <2005年春> テンパールB-2EA 20A
次にブレーカーの音質比較テストが発表されたのは、2005年春発売の音元出版「オーディオアクセサリー116号」。テスターは前回と同じくオーディオ評論家の福田雅光先生。同誌での連載 『旬の音本舗*福田屋』 に掲載。今度は、分電盤からFケーブルを東日京三EM-EEF2.0、約10mを仮配線で引いて、ほぼ実使用に近い状態でテスト。比較機種は、松下電工BS1112(2P1E)、テンパールB-1EA(2P1E)、同B-2EA(2P2E)、クライオ20AS、同30ASなど。
『その結果、福田屋推薦はテンパールのB-2EAに決定した。S/Nに優れ、解像度が高く陰影のコントラストがしっかりして高音の濁りも少ない。結果から判断すれば、ブレーカーレバーの操作感が、硬く歯切れよく明快な動作の製品が良いことが分かる。機械的な構造も音質に大きく関係しているようだ。』 前回のテスト結果から一変して、テンパールのB-2EAが推薦品となっている。
テンパール B-1EA(左)、B-2EA(右) テンパール B-1EA(左)、B-2EA(右) 内部
テンパールB-1EA(左)とB-2EA(右) B-1EA(左)とB-2EA(右)の内部
B-1EAとB-2EAの違いはB-1EAが110V専用で2P1E(2極1エレメント、エレメント=過電流検出素子)、B-2EAが110/220V兼用品で2P2E(2極2エレメント)だ。
外観からは違いが分かり難いが、内部写真でわかるとおり、温度で形状が変化するバイメタル製エレメントの数が違う。ただし、両者とも過電流が流れると2極とも遮断される。
交換してみると自宅でもB-2EAの方が良かった。高域のエネルギーや表現がB-1EAよりも向上する。なぜ、B-2EAが良いのか? よく観察すると、右下の端子挿入部の真鍮部材がB-1EAではストレート形状で振動に弱そうだが、B-2EAではそれがL字型に曲げられて剛性がアップしている。そのメリットが、バイメタル製エレメントという余分な線路を経由するデメリットを上回って好結果につながったのではないだろうか。一般家庭の100Vラインにはまず間違いなく110V専用品の2P1Eが使われているはずなので、これをテンパールB-2EA(定価税別¥1,250)に交換することで、音質アップが図れると思う。 =>評価が再逆転、次項(4)を参照。
なお、メインブレーカーも子ブレーカーもソルダーレス端子の締め付けは、トルクドライバーで規定値の1.5〜2N・mで締めること。自分はカノン(中村製作所)のN30LTDKを使って、200cN・mで締めている(2005年4月時点)。
(4)ブレーカー(配線用遮断器) 評価の変遷 その3 <2007年1月> 再びテンパールB-1EA 20A
2007年1月発売のSTEREO誌2月号の特集「ビギナーのためのオーディオベーシック講座」で、福田先生はブレーカーについて『理論的には接点の少ない1E型が有利で、聴感的にもクォリティは高い。オーディオ用としては、混濁が少なく透明度の高いテンパールのB-1EA20Aが勧められる』と記述された。再びテンパールのB-1EAが推薦品に返り咲いている。
B-1EAに戻った理由は書かれていないが、おそらく、福田先生宅の電源のクォリティアップ(PCOCC-A導体のTUNAMI NIGOやフルテックの新コンセントの導入など)でB-2EAの高域の癖が露になったからではないだろうか。と言うのは、自宅でCDプレーヤーやプリアンプのラック棚板を優秀なダンプ材であるフォックSH-22を使ってクォリティアップしていったところ、高域に癖が出るようになり、この記事を頼りにB-1EAに戻してみたら、見事に癖が解消されたからだ(2007年2月時点)。
(5)ブレーカーのダンプ
ブレーカー用インシュレーター
スーパークライオピュアフォック
ブレーカー用のインシュレーターというユニークなアクセサリーが2社から発売されている。セイシン と クライオオーディオテクノロジー だ。前者は制振合金M2052製、後者は制振材フォックをスーパークライオ処理した物だ。セイシン製は子ブレーカー用が税込みで¥6,300と高価だし、剛体である金属板とブレーカー背面が十分に密着しないような気がするので、完全な剛体ではないフォックを粘着テープで貼り付ける方式のCAT製を試してみた。こちらの価格は、税込み¥1,050。
最初に1個だけ試してみたのだが、確かに効果はある。気を良くして、自宅の子ブレーカー6個全部に使ったら、更に効果的で弱音部のDレンジが拡大。電源の品質を少しでもアップさせたいのなら、試してみる価値はあると思う(2005年7月時点)。
遮断レバーをダンプ ブレーカー背面のダンプ
テンパールB-2EAからB-1EAに戻す際、遮断レバーと背面をフォックでダンプした。親ブレーカーは外せないので、遮断レバーのみダンプ。背面は前出のスーパークライオピュアフォックが高いので、普通のフォックを切って貼った。写真は旧TA-01だが、現行TA-102はやや硬めなので、先に穴を開けて貼った方が良い。制振性能はTA-102が上。もちろん、子ブレーカー全部に貼って好結果を得ている(2007年2月時点)。
遮断レバーをダンプ ブレーカー背面のダンプ
(6)ブレーカーの取り付けネジ
ブレーカーの取り付けネジ
さて、ブレーカーの項の最後は取り付けネジだ。信じられない話ではあるが、音への影響は極めて大きい。ブレーカー交換やインシュレーター貼付けで脱着を繰り返したため、ブレーカー取り付けネジのネジ穴がバカになって音のスピード感が落ちてしまった。写真左端がもともと松下製ブレーカーを留めていた小ねじだが、これを径が少し太めの真中のテンパール付属のM3.5×28mmの木ネジに交換したところ、スピード感は元に戻ったが、音がちょっと軽くなってしまった。これは木ネジ材質の鉄の強度や質量の影響が音に出てきたのだと推測して、鉄より丈夫なステンレスのM3.5×32mm木ネジに交換してみたら、やはり、ステンレスの方が音がしっかりしていて良いが、高域に少し硬質感が残る。

この辺は、コンセントの取り付けネジでも同様の印象だったので、硬過ぎるステンレスの癖だろう。これを解消するために、鍋屋バイテックのチタンワッシャSWAT-3-F(穴径3.2×外径7×厚さ0.5mm)を挿んだ。このように振動モードの異なる異種素材(今回はステンレスとチタン)を組合わせて振動をダンプ(damp、弱める)する手法は、オーディオの世界では昔から用いられてきた方法だ。普通の鉄ワッシャでも良いのだが、せっかく非磁性体のステンレスネジを使っているのだから、ワッシャも非磁性体のチタンを使いたい。チタンはステンレスよりも柔らかいので、十分な密着が期待できる。チタンワッシャを挿むと中高域が綺麗になる。音は狙い通りに高域の硬質感が解消して、大成功! ステンレスのネジ+チタンワッシャの組合わせは、自分的に定番化しそうだ(2005年7月時点)。
ブレーカーの取り付けネジ
ブレーカー取り付けネジで音が激変!
ブレーカー取り付けネジで音が激変!
(7)低電磁界配線
前頁でも説明しているが、本格的に低電磁界配線を行うのであれば、親ブレーカーと子ブレーカーの間は最低50cm、子ブレーカー間は10cm程度離した方がよいのだが、専用に分電盤をあつらえない限り、無理である。
では、出来ることは何も無いのかと言えばそうでもなく、右写真のように子ブレーカーへの配線をツイストすることは出来る。ブレーカー付近は配線が輻輳しやすく、電磁的な悪影響が出やすい。
ツイストするとループ面積が減少し、耐振動性が向上するためだと思うが、効果は大きく再生音が自然になり、音場が広く深くなる。また、ビジュアル機器にも効果があり、画像の精細さ、奥行き感や黒の締り等が向上する。注目度の低いブレーカーであるが、電源の源泉なのでこの頁の対策だけでも結構なレベルアップになる(2008年5月時点)。
子ブレーカーへの配線をツイスト
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